季節的に雇用される者は短期雇用特例被保険者となり、失業した場合には、一般の被保険者と異なり、特例一時金が支給されるとのことですが、この仕組みについて教えてください。
【長野 H社】
季節移動労働者および短期の雇用に就くことを常態とする者については、一般の常用雇用労働者と異なり、求職者給付としては基本手当を支給せずに特例一時金が支給されますが、それには、原則として離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あることが必要です。
被保険者期間の計算方法については、短期雇用特例被保険者の場合には、当分の間、1暦月中に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を被保険者期間の1ヵ月として計算することとされています。
季節移動労働者についても一般の常用雇用労働者と同様に疾病、負傷等により30日以上引き続き賃金の支払いを受けることができない場合がありますので、このような場合には、最大4年間まで遡って受給要件を緩和することができることとなっています。
このような要件を満たして特例一時金の支給を受けることができる資格のごとを特例受給資格といい、この特例受給資格を有する者のことを特例受給資格者といいます。
特例受給資格の決定を受けるためには、次の3つの要件を満たしていなければなりません。
①離職により資格喪失の確認を受けたこと。
②労働の意思および能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること。
③原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること。
特例受給資格の決定を受けた者に対しては、特例受給資格者証が交付されますが、この特例受給資格者証は、特例受給資格の決定がなされたことを証するもので、支給される特例一時金の基礎となる基本手当の日額、出頭すぺき失業の認定日など重要事項が記入されており、以後失業の認定を受ける場合等には必ず提出しなければなりません。
特例一時金の額は、その者について算定された基本手当日額に相当する額の50日分となります。
たとえば、一般被保険者であった受給資格者の場合には、その者の再就職の難易度に応じて所定給付日数が異なっていますが、特例受給資格者の場合は、1年のうちの一定期間だけ働いて、残りの期間は就労しないというパターンが一般的に共通しており、年齢などに基づく格差が通常は存在しないので、一律50日分ということにされています。
ただし、特例一時金の支給を受けるための失業の認定日から特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して6ヵ月後の日(これを「受給期限日」といいます)までの日数が50日未満であるときは、特例一時金の額はその日数分となります。
【平成15年:事例研究より】