従業員が、事故で複雑骨折を起こし、相当、長期間の休業が見込まれます。
とりあえず、残っている年次有給休暇をすべて消化した後、病気休職扱いにする予定です。
この場合、傷病手当金の支給期間1年6ヵ月のカウントは、①ケガした日から、②休業4日目から、③年休消化の翌日からーのいずれになるでしょうか。
【干葉 Y社】
傷病手当金の支給期間は1年6ヵ月ですが、病気が快癒、また再発した場合など途中で賃金が支払われると、その間の傷病手当金は、一旦、支給が停止されます。
しかし、実際の支給期間が1年6ヵ月に満たなくても、機械的に日数を計算して、所定の期間が経過すると、傷病手当金は打ち切られてしまいます。
お尋ねのケースでは、ケガをした後、年休の残日数をすべて消化してしまうわけですが、この場合の扱いはどうなるでしょうか。
年休を取っていても、待期の完成は妨げられませんから、休業4日目には、傷病手当金の権利が生じます。
年休と公休が入り交じっているときも、両方通算して、継続して3日が経過すれば、待期期間満了となります。
しかし、その後は、100%の報酬が支払われているので、現実には、傷病手当金は支払われません。
年休がすべて消化され、無給の欠勤扱いになった後、はじめて手当の支給が始まります。
そこで、ご質問のように、1年6ヵ月をカウントする起算日の問題が生じるわけですが、健康保険法第99条では、「傷病手当金の支給期間は、その支給をはじめたる日より起算し1年6ヵ月を超えないものとする」と定めています。
ですから、「年休消化の翌日から」が正しい答になります。
40日の上限いっぱい年休が残っているときは、公休日等も含めれば、ヶガをした日と傷病手当金の支給開始日とが、2ヵ月近く離れるケースも珍しくないでしょう。
この場合にも、1年6ヵ月のカウント起算日は、その2ヵ月近く後の支給開始日からになります。
【平成15年:事例研究より】