時効消滅年休の買上げは規定化してよいか【平成15年:事例研究より】

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年次有給休暇の権利は、翌年まで繰り越され、2年間で時効消滅しますが、この時効消滅した分の年次有給休暇を買上げる規定を就業規則に盛り込んでもよいのでしょうか。

「年次有給休暇の買上げ」と異なって許されると思うのですが…。

【福岡 M社】

法定の年次有給休暇(法定日数)について、現実に所定労働日に休業しないのに、金銭を支給することで年休を与えたこととする、いわゆる年休の買上げは許されません。

たとえば、10労働日の年休をもっている労働者に対し、そのうちの3労働日の年休を買上げ、3日分の賃金を支給し、以後この労働者については、あと7日の年休しか残っていないものとして処理することは許されません。

年休の権利は、2年間で時効消滅します。

行政解釈は「法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる」(昭22・12・15基発第501号)としています。

2年間で時効により消滅した年休日数に応じて何らかの金銭を支給しても、年休の買上げと異なり、必ずしも違法といえません。

しかし、時効消滅した年休といえども、あらかじめ買上げることを規定しておくことは、年休をとることを事実上抑制する機能をもち、問題があります。

消滅した年休を買上げる規定を就業規則に盛り込むべきでありません。

【平成15年:事例研究より】