従業員が入院し、長期療養が必要と診断されました。
本人は退職して、両親の住む郷里で治療を受けたいと希望しています。
この場合、健康保険から転院にかかる移送費を受けられるケ−スもあると聞きましたが、何か条件があるのでしょうか。
【大阪 K社】
移送費というと、急病など一時的・緊急的な必要に対処する仕組みというイメージがありますが、保険診療の一環として医師の指示等に従い転院する際にも適用が認められます。
転院の費用が支給対象となるのは、 ・療養の経過から転医することが絶対に必要である場合 ・療養の経過から絶対に転地する必要がある場合 ・患者の絶対的な理由により転医しなければならない場合 ・主治医の絶対的理由から転医しなければならない場合 等の場合です。
診療サービスの内容がより整った病院への転院や、いわゆる転地療養などとならんで、患者・主治医の理由に基づく転院も含まれています。
移送費の支給は、保険者が必要と認めた場合に限られるので、事前に移送承認書を社会保険事務所に提出し、承認を取っておく必要があるでしょう。
移送費には、3割の本人負担等はありません。
しかし、かかった費用が必ず全額填補されるわけではなく、移送費として計算された額と実費の差額が本人負担となるケースもあります。
移送の条件は、最も経済的な経路を、最も経済的な交通機関を利用して辿るというものです。
【平成15年:事例研究より】