このたび、私は、公共職業安定所で紹介してもらった会社に勤めることになりましたが、そのためには住所を変更する必要があります。
このような場合、雇用保険制度では、移転費が支給されると聞きましたが、その費用はどの程度まで支給されるのでしょうか。
【岡山・T男】
移転費は、受給資格者、特例受給資格者または日雇受給資格者(以下「受給資格者等」といいます)が安定所の紹介した職業に就くため、または安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所または居所を変更する場合であって、安定所長が必要があると認めたときに受給資格者等およびその者により生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用が支給されます。
この支給を受けるには、次の2つの要件を満たすことが必要です。
1.待期または給付制限の期間が経過した後に就職し、または公共職業訓練等を受けることとなった場合であって、管轄安定所長が住所または居所を変更する必要があると認めたこと 2.当該就職について、就職準備金その他移転に要する費用が就職先の事業主から支給されないこと、またはその支給額が移転費の額に満たないこと なお、移転費は以上の2つの要件を満たす場合であっても、1.その者の雇用期間が1年未満である場合、または2.その他特別の事情がある場合には支給されません。
偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、または受けようとした場合も同様です。
移転費には、鉄道賃、船賃、車賃、移転料および着後手当の5種がありますが、着後手当を除く他の4種については、受給資格者等およびその者が随伴する親族について旧居住地から新居住地までの通常の経路に従って計算した額を支給します。
1.鉄道賃 鉄道賃は、普通旅客運賃相当額(普通急行列車または特別急行列車を運行する線路による場合は、一定距離以上である場合に限り当該線路ごとの普通急行料金相当額または特別急行料金相当額を加えた額)です。
2.船賃 船賃は、2等運賃相当額(鉄道連絡路線にあっては、普通旅客運賃相当額)です。
3.車賃 車賃は、鉄道軌道のない区間について、通算してlkmにつき23円として計算した額です。
4.移転料 移転料は、移転費の支給を受ける者が親族を随伴する場合はその親族の多寡にかかわらず、その旧居住地から移転すべき新居住地までの距離に従って別表に定める額の全額が支給され、親族を随伴しないで単独で移転する場合は、その額の2分の1に相当する額が支給されます。
5.着後手当着後手当は鉄道賃とともに支給されるもので、親族が随伴する場合は29,200円、親族を随伴しないで単独で移転する場合は14,600円です。
【平成4年:事例研究より】