私は3ヵ月前からタクシー会社に勤務していますが、事業主は雇用保険の被保険者となったことの届出をしてくれません。
このような場合、自ら公共職業安定所に申し出て手続きをとることができるでしょうか。
【群馬・W男】
事業主は、その雇用する労働者に関し、被保険者となったこと、被保険者でなくなったこと等を厚生労働大臣(実際には、公共職業安定所長に権限が委任されています川こ届け出なければならないこととなっていますが、事業主がこれらの届出を行わないと、厚生労働大臣の確認が行われず、労働者の失業給付(基本手当)を受ける等の権利が必ずしも十分には効力を有しないこととなります。
そこで、事業主が届出を行わない場合には、直接労働者(被保険者または被保険者であった者)本人から確認の請求を行うことができるものとし、正当な権利の保護を図ることとしています。
したがって、ご質問のような場合には、ご本人から直接、被保険者であることの確認の請求を行うことができます。確認の請求は、文書または口頭のいずれかによって行うことができ、確認請求に係る被保険者資格の取得の日において、その者が雇用されていた事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して行うことになっています。
文書で請求しようとする者は、次の事項を記載した請求書を提出しなければなりません。
この場合、証拠があるときはこれを添えなければなりません。
(イ)請求者の氏名、住所および生年月日 (口)請求の趣旨 (ハ)事業主の氏名並びに事業所の名称および所在地に)被保険者となったことまたは被保険者でなくなったことの事実、その事実のあった年月日およびその原因 (ホ)請求の理由 口頭で請求しようとする者は、文書で請求する場合の各事項について公共職業安定所長に陳述しなければなりません。
この場合、上記と同様、証拠かおるときはこれを提出しなければなりません。
陳述を受けた公共職業安定所長は、聴取書を作成し、請求者に読み聞かせたうえ、署名または記名押印させることとなっています。
なお、上記(口)の「請求の趣旨」とは、例えば、「平成○○年○月○日に被保険者となったことを確認されたい」といったものであり、(ホ)の[請求の理由]とは、何月何日から某事業主と雇用関係を締結したこと、某事業主は労働者を雇用して何々事業を行っていること等請求の趣旨の裏付けとなる事実であり、また、証拠とは、例えば、採用通知、雇用契約書、辞令、健康保険被保険者証その他被保険者資格の取得の事実判断の資料となるものです。
また、雇用保険法では、労働者が上記のような確認請求をしたことを理由として、事業主が労働者に対し解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁じています。
【平成16年:事例研究より】