労災保険の休業補償給付を受けるには、療養のため労働することができず、賃金を受けないことが条件であり、「この賃金を受けないとは、事業主から休業1日当たり平均賃金の6割以上を受けない場合」をいい、事業主が賃金を支払っても、平均賃金の6割に満たない場合は、休業補償給付が受けられると説明されていますが、その法的根拠はどこにあるのでしょうか。
【神奈川 H社】
労災保険の休業補償給付は、①業務上の傷病の療養のため②労働することができないために③賃金を受けない日の第4日目から支給され、その額は休業1日につき給付基礎日額の60%とされています(労災法第14条)。
そして、労災保険の保険給付の条件である「賃金を受けない日」とは賃金の全部を受けない日と一部を受けない日を含んでいます。
全部を受けない日は問題はありませんが、全部労働不能期間中、賃金の一部を受け、その額が平均賃金の60%以上の場合には、休業補償の事由が生じませんから、労災保険の休業補償給付も支給されません。
賃金を受けない日とは、休業1日当たり平均賃金の60%以上を受けないことをいい、一部を受けても、その額が平均賃金の60%未満の場合は、労災保険の休業補償給付が支給されます。
一部を支給しても、それが平均賃金の60%未満の場合には、まだ労基法第76条の休業補償の事由が消滅しないからです。
【平成15年:事例研究より】