一人親方が、仮にある月の末日に労災保険に特別加入し、翌々月の始めに脱退した場合、実際の加入期間は1カ月ちょっとしかないのに、3カ月分の保険料を納める義務があると聞きます。
日割計算を使って、保険料を安くするような特例はないのでしょうか。
労災保険の特別加入は、中小企業の事業主や一人親方など労働者に準じた働き方をする人たちにも、保険制度上の保護を及ぼす制度です。
厳密な意味では労働者ではないので当然には保険の対象になりませんが、本人の申請に基づき、特別に加入を認めるものです。
保護を受ける前提として保険料を納める必要がありますが、報酬には事業主としての取分も含まれるので労働者に準じて働く分がいくらになるか、必ずしも明らかではありません。
そこで、加入希望者が給付基礎日額を申請し、都道府県労働局長が決定するというスタイルをとっています。
しかし、加入日数分の日割按分で保険料を計算するわけではありません。
按分計算の最小単位は、1カ月当たりの給付基礎日額の総額(1年分の保険料算定基礎額の12分の1)です。
しかも、加入月数を計算する際、「月の中途に加入、脱退等がある場合には、それぞれの属する月を1月とする」という原則が適用されます。
例外は、有期事業の中小事業主が特別加入する場合で、「加入日から脱退日までの期間を計算し、1月未満を切上げる」という処理をします。
一人親方については、こうした特例は認められていないので、月末加入・月初脱退のケースでは端数計算が不利になります。
【平成16年:事例研究より】