期間満了で退職させると、休業補償が止まるか【平成16年:事例研究より】

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1年契約の嘱託社員が、契約満了1カ月前に、業務上の事故で、ケガを負ってしまいました。

期間満了で雇止めにすると、休業補償が止まってしまうのでしょうか。

会社として、休職発令し、雇用関係を継続させる必要がありますか。

【愛知・J社】

業務上のケガですから、そもそも雇止めが可能かという点から話を整理しましょう。

労基法第19条では、業務上のケガ等で「休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と定めています。

しかし、期間契約の場合は、「業務上負傷し又は疾病にかかり療養のため休業する期間中の者の労働契約もその期間満了とともに終了し、労基法第19条の適用はない」という解釈例規があります(昭23・1・16基発第56号)。

つまり、雇止めは可能ですが、仮にそのことで、労災補償がストップしてしまうとすれば、労働者にとって酷な結果となります。

会社として、賃金を払わないまでも、形式的に雇用契約を存続させて補償を受けさせるなど、工夫する必要が生じます。

しかし、労災保険法第12条の5に、「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない」という規定があります。

会社が払う保険料を原資に保険給付が支払われるので、労働関係が途切れると保険給付に影響が出るという誤解があるため、独立の条文を建て、退職後の権利を明らかにしたものです。

ですから、退職しても、「業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができない」状態である限りは、引き続き休業補償給付が支給されます。

【平成16年:事例研究より】