当社の従業員Hは、この3月に満60歳になりますので、厚生年金の在職老齢年金を請求し、受給します。
厚生年金の加入期間はすでに37年あります。
この場合、在職老齢年金を受給しながら、厚生年金の保険料は引き続き納めるのでしょうか。
退職するまでは納めなければならないと思うのですが、年金額が決定された後も保険料を納めるのはムダとなりませんか。
【長野A社】
特別支給の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間(原則として25年)を満たしている人が、60歳になった後に退職して被保険者の資格を失ったとき、あるいは退職して被保険者の資格を失った後に60歳になったとき支給されます。
この特別支給の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている60歳以上の在職中の被保険者にも、標準報酬月額が一定以下であれば、65歳になるまで支給されます。
在職老齢年金は、標準報酬月額が24万円以下の人に支給され、標準報酬月額が26万以上の人には支給されません。
在職老齢年金の額は、標準報酬月額の区分に応じて、定額部分と報酬比例部分を加算した額の8割、7割、6割、5割、4割、3割、2割(7区分)に、加給年金を加えた額となっています。
ご質問の場合、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしており、60歳になられるということですので、標準報酬月額が24万円以下なら、在職老齢年金を請求、受給することができます。
在職老齢年金を受給しても、厚生年金の被保険者である限り、保険料は納めなければなりません。
在職老齢年金を受給しながら、一方で保険料を納めるわけです。
在職老齢年金を受給しながらも、毎月、加入期間は増えていきます。
在職老齢年金を受けていた人が退職した場合、65歳前の退職なら、退職して1ヵ月経過した時点で、60歳以後の厚生年金加入期間を含めて年金額が計算し直され、全額が支給されます。
また、65歳以降も在職しているときは、65歳になった時点(65歳になると被保険者でなくなる)で、60歳以後65歳になるまでの加入期間を含めて計算し直された年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)が全額支給されます。
60歳以後に増えた加入期間は、退職(または65歳)時に年金額の計算の基礎に加えられますので、保険料はムダになりません。
【平成4年:事例研究より】