満60歳になり、3月末で定年退職の予定でしたが、会社から嘱託で勤務という話が出て嘱託で勤務しています。
しかし、賃金は大幅にダウンしています。
低い賃金で2〜3年勤務した場合、退職後に受け取る年金は不利になりませんか。
それに、厚生年金の加入期間が35年以上あるから、年金の増額にならないと聞いたのですが、本当でしょうか。
【愛知・F社】
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間が1年以上あって、老齢基礎年金の受給資格期間を満だしていれば、60歳になって退職している人に、65歳になるまでの間支給されます。
また在職中でも、標準報酬月額が24万円以下であれば支給されます65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。
老齢基礎年金の受給資格期間は、原則として25年です。
ご質問の場合、厚生年金の加入期間が35年以上あって、60歳になっておられますから、退職されれば特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。
また、標準報酬月額が24万円以下となれば、在職中でも特別支給の老齢厚生年金が受けられます。
特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分を合わせた額です。
厚生年金に20年以上加入し、扶養する配偶者がいれば、加給年金が加算されます。
定額部分を計算する場合の加入期間は、420月(35年)以上のときは420月として計算されます9定額部分は35年(420月)が上限とされますので、今後加入を続けても増えません。
報酬比例部分の計算の基礎となる平均標準報酬月額は、加入期間中の標準報酬月額を平均したものです。
ご質問では、低い賃金で2〜3年勤務することによって、この平均標準報酬月額に影響が出てくるのでは、と心配されていますが、加入期間すべてで計算されますので、大きく変わることはありません。
報酬比例部分の計算では、加入期間が35年を超えても、35年で打ち切る事をしません。
実際の加入期間で計算されます。
加入期間が長くなればなるほど、年金額は高くなります。
60歳以後、低い賃金で勤務されても、それだけ加入期間が長くなりますので、退職時に受ける年金が下がることはありません。
定額部分の定額単価と報酬比例部分の乗率は、生年月日に応じて決められていますので、60歳以後勤務されても変わりありません。
【平成4年:事例研究より】