家業の手伝いすると手当出ないといわれたが、失業とはどういう状態か【平成15年:事例研究より】

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私は、会社を辞めた後、当分の間、両親が経営している店を手伝うことにしたのですが、窓口で、「あなたは失業の状態ではありません」と説明されました。

失業とはどういう状態をいうのですか。

【奈良 T子】

雇用保険法第4条第3項において、「失業」とは、「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態であること」と定義されています。

まず、「労働の意思」ですが、労働の意思とは、就職しようとする積極的な意思をいいます。

すなわち、安定所に出頭して求職の申込みを行うのはもちろんのこと、本人自らも積極的に求職活動を行っている場合に労働の意思ありとされるものです。

また、「労働の能力」とは、労働に従事し、その対価を得て自己の生活に資し得る精神的・肉体的及び環境上の能力をいうのであり、本人の労働能力は安定所において本人の体力、知力、経歴、生活環境等を総合してその有無を判断するものです。

「職業に就くことができない状態」とは、安定所が本人の求職の申込みに応じて最大の努力をしたが就職させることができず、また、本人の努力によっても就職できない状態をいいます。

雇用保険の失業給付を受給するためには、以上述べたような「失業」の状態にあるか否かを確認する必要があります。

なお、労働の意思・能力がないと推定される者の例は次のとおりです。

①妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事、家業手伝いのため退職した者 ただし、当該退職が、母体保護、育児、看護その他家事、家業手伝いに専念するためではなく、労働の意思、能力とは関係がないと認められる他のやむを得ない理由(例えば通勤可能地域外への住居移転の必要)に基づくこと、または退職後(通常相当期間を経過して)退職のあった理由に変化のあったことが確認された場合等であって、真に労働の意思・能力があると認められる場合はこの限りではありません。

②特別な理由がないのに安定所が不適当と認める職業または不当と認める労働条件その他の求職条件の希望に固執する者 この者は、一応労働の意思がないものと推定されます。

③老衰、疾病、負傷または産前産後等本人に固有な精神的、肉体的諸条件により通常のいかなる職業にも就くことができない(適職なし)と認められる者であって、公共職業訓練を行う施設にも入校(所)させることができない者 ④家事、家業または学業等の都合により他の職業に就き得ない状態にある者 ⑤正当な理由なく、所定の失業の認定日に安定所に出頭しない者 ご質問の方は、退職後しばらくの間、家業を手伝うということですので、その間は、雇用保険法で定めているところの「失業」の状態にあるとはいえないということになります。

【平成15年:事例研究より】