14年から保険料免除になったが、夜間学生の保障大丈夫?【平成15年:事例研究より】

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平成14年度から夜間制の学生も国民年金の保険料免除を受けられるようになりました。

免除を受けていた場合の扱いですが、20歳を過ぎた夜間学生を正社員として採用した場合、厚生年金の被保険者期間が短くても、障害年金等の権利があるという理解で間違いないでしょうか。

【岡山 F社】

20歳に達すれば、学生でも国民年金に加入しなければなりません。

実質的には、親が保険料を負担することになるので、以前は親の年収を基準に保険料の免除が決められていましたが、平成12年から本人の収入を基に免除の可否を判断する仕組みに改められました。

学生本人の扶養親族等の数を考慮して金額が決められていますが、通常の「扶養なし」の場合、所得金額68万円以下が対象になります。

この場合の「学生」については、国民年金法施行令第6条の6に「学校教育法に定める夜間において授業を行う学部(学科)又は通信による教育を受けるものを除く」という制限がありましたが、平成14年からは、夜間部、定時制課程および通信制課程に在学する学生も含まれることになりました。

そこで、今後、年金制度のうえで、夜間学生等がどういう扱いになるかを検討してみましょう。

夜間や定時制大学は、本来的には、昼間働きながら夜学ぶ「勤労学生」を対象にしています。

しかし、経済的事情以外の理由で昼間以外の学校を選ぶケースも多いのが実情で、今回改正も、そうした現実を踏まえたものといえます。

勤労学生の場合、相当額の収入を確保するだけの時間働いていますから、通常は、厚生年金の被保険者になっているはずです。

しかし、不就労やアルバイトだけの夜間学生は、収入が先に挙げた要件に満たない場合、申請すれば免除を受けられます。

自動的に免除される仕組みではなく、20歳になったら手続きが必要です。

申請免除を受けた後、保険料を追納することなく、卒業し、貴社に入社したとします。

入社後、厚生年金の被保険者として、はじめて自分で保険料を納め始めることになります。

形としては、労使折半負担分のうち被保険者分を給料から天引きされるわけです。

貴社の従業員となって問もない時期に、私的なケガ・病気等で障害を負ったと仮定します。

この場合、本人は各種年金の受給権があるでしょうか。

障害厚生年金・障害基礎年金を受けるためには、初診日要件と保険料納付要件の2つを満たす必要があります。

ケガ等をした時点では、厚生年金の被保険者で、同時に国民年金の第2号被保険者でもありますから、初診日に被保険者であることという条件はクリアします。

20歳になった後、ケガ等をするまでの間は、大半が保険料免除期間で、それに入社後の厚生年金の被保険者期間が加わります。

保険料免除期間と納付期間を合わせ、被保険者期間の3分の2以上という要件を満たすので、障害年金の権利が発生するという結論になります。

【平成15年:事例研究より】