従業員が、内縁の妻がいるので、被扶養者にしたいといってきました。
話を聞くと、妻本人よりその父母を被扶養者にしたいというのが、本音のようです。
正式に結婚していない場合、妻とその父母の扱いはどうなるのでしょうか。
【徳島 K社】
健康保険では、内縁の妻でも被扶養者にできますが、外聞が悪いからでしょうか、会社に申告しないケ−スもあるようです。
しかし、その父母が、たとえば病気による退職などで健康保険の被保険者資格を喪失した場合、父母そろって国民健康保険の資格を取得する必要が生じます。
娘の夫が健康保険の被保険者なら、ついでに自分たちも被扶養者になれないか、そういう発想が出てきてもおかしくありません。
健康保険法第3条7項をみると、内縁の妻、その父母・子について、それぞれ被扶養者となる要件が定められていますが、妻本人とその家族とでは扱いが違います。
配偶者(届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)については、被保険者により生計を維持されていれば、被扶養者になる資格があります。
内縁の妻はこのカッコ書きに該当するわけです。
しかし、「被保険者の配偶者であって届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者の父母および子」に関しては、生計維持関係だけでは不十分で、「被保険者と同一の世帯に属する」ことも条件になります。
子供の場合、通常、同居しているはずですから、とくに支障はありません。
しかし、父母は、元々別々に暮らしている可能性が高いと思います。
「同一の世帯に属する」という場合、必ずしも同一戸籍内にある必要はなく、被保険者が世帯主でなくても構いませんが、お尋ねのケースでは、父母は別個に一軒を構えているのではないでしょうか。
これから先、従業員の方が自分の家に父母を迎え入れるのなら話は別ですが、別居状態を続けるというなら、被扶養者の条件には該当しません。
【平成15年:事例研究より】