60歳定年後、再雇用する人たちについて、一律低賃金を適用するのではなく、働きに応じ、メリハリの利いた賃金改定を実施したいと考えています。
在職老齢年金の金額は、いつも1種類の式を使って計算していましたが、報酬の高い人の場合、異なる式を使うケースもあると聞きます。
報酬に応じて、どのように変わるのでしょうか。
【和歌山 K社】
年金は、本来的には職業生活をリタイアした人が、生活費として受け取るものです。
このため、勤労収入がある人に対しては、年金を減額する仕組みが設けられています。
しかし。
減額幅が大きいと、誰も働きに出なくなります。
年金財政が苦しいなか、就労意欲を喚起する工夫が必要です。
そこで収入が多くなるにつれて、段階的に減額率が大きくなる仕組みが導入されています。
収入が低いうちは、年金は小額がカットされるだけです。
収入が多い人は、多少、カット幅が大きくても、会社を辞めたりしないでしょう。
在職老齢年金を計算する際には、なだらかに減額幅を大きくするために、収入(標準報酬月額と年金の両方の金額が関係します)に応じて、5種類の式を使い分けます。
ただし、現実に、大半の人に適用されるのはBの式です。
このため、もっぱらこの式だけを知っていれば、人事・総務部門に所属していてもあまり困りません。
しかし、標準報酬月額が37万円を超えると、今度はDまたはEの式の出番になります。
基本月額(年金額の80%)が22万円を超える人は、ほとんどいないでしょうから、標準報酬月額37万円以上の人は、大多数Dの式を使って在職老齢年金を計算することになります。
再雇用者を対象に成果主義賃金を導入する場合、Bの式に加え、Dの式も覚えておくと、役に立つでしょう。
【平成15年:事例研究より】