妻自身が年金受給者で夫が死亡した場合、遺族年金と自分の年金とどちらを選ぶか【平成4年:事例研究より】

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3月に60歳定年退職となり、厚生年金を受けはじめる(現在請求中)ことになりました。

妻(昭和10年生まれ)は、国民年金に13年任意加入した後、勤めはじめて7年になります。

この間厚生年金に加入しています。

もし、私が死亡したという場合、妻の受給する年金は妻自身の年金か、私の死亡による遺族年金か、どちらかの選択になるのでしょうか。

【千葉・N男】

遺族厚生年金は、1.厚生年金に加入中に死亡したとき、2.厚生年金に加入中に初診日がある疾病により初診日から5年以内に死亡したとき、3.1級、2級の障害厚生年金を受給している人が死亡したとき、4.老齢厚生年金を受けているか受けられる資格期間を満たしている人が死亡したときーーその遺族に対して支給されます。

あなたは、すでに特別支給の老齢厚生年金を受給されていますから万一死亡されたという場合には、奥さんに遺族厚生年金が支給されます。

18歳未満の子(障害の子は20歳未満)がいる妻の場合には遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されますが、18歳未満の子はいないと思われますので、遺族厚生年金だけが支給されます。

遺族厚生年金の額は、報酬比例部分の4分の3の額です。

60歳から65歳になるまで支給される特別支給の老齢厚生年金は、定額部分、報酬比例部分、加給年金を合算した額ですが、この報酬比例部分の4分の3が遺族厚生年金の額になるということです。

これに夫の死亡時に35歳以上65歳未満で子のない妻には、40歳から65歳になるまで「中高齢の寡婦加算」がプラスされます。

ただし、夫が老齢厚生年金を受けているか受ける権利があるときに死亡した場合は、夫が厚生年金に20年以上(中高齢の特例の場合は15〜19年以上)加入していないと、中高齢の寡婦加算はありません。

ところで、1人1年金が原則です。

奥さんが60歳になると、自分自身の特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになります。

しかし、遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金の両方は受給できません。

どちらか多い方を選択します。

65歳になると老齢基礎年金を受けられるようになります。

老齢基礎年金を受給したうえで、遺族厚生年金か老齢厚生年金かを選択します。

遺族厚生年金の中高齢の寡婦加算はなくなり、経過的な寡婦加算がつきます。

【平成4年:事例研究より】