厚生年金の老齢年金を受給するとき、扶養している妻があれば加給年金が加算されますが、妻が国民年金を受給することができる場合、加給年金がつかなくなると聞いたのですが、本当でしょうか。
妻の国民年金の加入期間が短く、少ない年金しか受給できない場合、加給年金がカットされることにより、夫婦2人の年金は減ることになりませんか。
【東京・S社】
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金に1年以上加入し、老齢基礎年金の受給資格期間(原則として25年以上)を満たしており、60歳以上で退職している場合に、65歳に達するまで支給されます。
また、60歳以上で被保険者として在職していても、標準報酬月額が一定の範囲内であれば特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
この場合、標準報酬月額に応じて一定割合がカットされます。
特別支給の老齢厚生年金が受けられるようになったとき、厚生年金の加入期間が20年以上(中高齢の特例の場合は15年〜19年)で、その人に生計を維持されている65歳未満の妻があれば、加給年金が加算されます。
加給年金が加算されるのは、妻が65歳になるまでです。
夫の老齢厚生年金の加給年金の対象となっている妻が、65歳になって自分の老齢基礎年金を受けられるようになると、加給年金がつかなくなるのは本当です。
その代わり、妻の老齢基礎年金には振替加算がつくようになります。
サラリーマシの妻もすべて国民年金に加入し、65歳から自分名義の老齢基礎年金を受けるようになっています。
このため、夫の老齢厚生年金に加算されている妻の加給年金はつかなくなるわけです。
しかし、現行制度実施の昭和61年4月1日の時点で、それまで国民年金に任意加入していなかった人は、老齢基礎年金の額は低くなってしまいます。
一方、妻が65歳になると加給年金は打ち切られますので、夫婦で受ける年金が減りかねません。
そこで、振替加算の仕組みが設けられているのです。
妻は、65歳になると、自分自身の国民年金の加入期間に応じた老齢基礎年金と振替加算を足した年金が自分名義の年金として受けられます。
妻が65歳になると夫の老齢厚生年金の加給年金は打ち切られますが、加給年金に代わり妻の老齢基礎年金に振替加算が行われますので、夫婦二人で受ける年金は減るということはありません。
【平成4年:事例研究より】