管理職が深夜勤務をした場合に割増をどう計算すべきか【平成15年:事例研究より】

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当社は、管理職に対しては、時間外労働、休日労働をしても一切割増賃金を支払っていません。

この種の勤務を含めて管理職手当を支払っていると考えているからです。

ところが、管理職であっても、深夜労働の割増賃金を支払わなければならないということですが、管理職には所定労働時間はありません。

その計算方法はどうなるのでしょうか。

【東京 N社】

労基法第41条第2号は、「監督若しくは管理の地位にある者」には労働時間、休憩、休日に関わる規定を適用しないことにしています。

「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)は、事業経営の管理的立場にある者またはこれと一体となるものであり、労働時間などの規制を超えて活動しなければならない経営上の必要があると同時に、その地位からして規制外においても保護に欠けることがないからです。

ご質問の管理職が労基法第41条第2号にいう管理監督者に該当すれば、労働時間などの規定は適用除外されます。

しかし、労基法は労働時間と深夜業を区別して使用している関係から、労働時間には深夜業を含まないと解されています。

行政解釈は、「本条は第4章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日の規定を適用除外としているものであり、深夜業の関係規定(第37条の関係部分及び第61条の規定)は適用が排除されるものではない。

したがって、本条により労働時間等の適用除外を受ける者であっても、第37条に定める時間帯に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければならない」(昭63・3・14基発第150号、平11・3・31基発第168号)としています。

時間外、休日労働の割増賃金の支払いの問題が生じない管理監督者であっても、午後10時から午前5時までの労働には、深夜割増賃金を支払わなければなりません。

法第41条に該当する労働者の深夜業に対する割増賃金の計算の基礎について、行政解釈は「当該職種の労働者について定められた所定労働時間を基礎とする」(昭22・12・5基発第502号)としています。

ご質問では、管理職には所定労働時間がないとのことですが、労基法第89条では「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇‥・」を就業規則の絶対的必要記載事項としており、管理監督者にも就業規則が適用されます。

一般的にいって、管理監督者についても一般社員と同様の所定労働時間となることが多いといえます。

その所定労働時間を基礎として、深夜労働の割増賃金を計算します。

「労働協約、就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない」とされていますが、本給や管理職手当に深夜業の割増賃金が含まれているのであれば、その旨と深夜分の額が定められていることが必要です。

【平成15年:事例研究より】