障害厚生年金より傷病手当金高いのはよくあるケ一スか【平成15年:事例研究より】

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社労士資格を目指して勉強中ですが、傷病手当金と障害厚生年金の併給調整について、質問があります。

「障害厚生年金の額が傷病手当金の額より少ない場合、その差額が健康保険から支給される」とのことですが、厚生年金の額が低いのは、よくあるケ−スなのでしょうか。

【神奈川 M男】

傷病手当金の支給期間が残っていても、同一の疾病または負傷により障害厚生年金を受けるときには、傷病手当金が打ち切られます。

これだけ覚えるのも大変なのに、社労士の教科書をみると、ご指摘のようにただし書きがついています。

「このただし書きに意味があるのか」、そういう疑問を感じた方は少なくないと思います。

調整規定の復習も兼ねて、一般的にはどうなるのか、検証してみましょう。

計算の便宜上、障害等級1級のAさんの標準報酬月額は30万円、生涯平均標準報酬月額も同じく30万円と仮定します。

標準報酬日額は1万円ですから、傷病手当金は6,000円です。

それでは、障害厚生年金はいくらになるでしょうか。

被保険者期間は、最低保障の300月を使って計算します(物価スライドは省略)。

30万円×7.125/1000×300月×1.25 = 80万1,600円(100円未満四捨五入) 健康保険法第108条第2項をみますと、障害厚生年金の額だけでなく、同一の事由により障害基礎年金も受けるときは、その額を合算した額を調整に用いると規定してあります。

ですから、第1級の障害基礎年金99万6,300円を加え、179万7,900円が、計算のベースになります。

傷病手当金と金額の多寡を比較するときは、年金額を365ではなく360で除します。

結果は、4,994円です。

障害等級1級でさえ、年金額は傷病手当金に及びません。

一般的にいうと、生涯平均標準報酬月額は高いけれど、病気になったときにたまたま標準報酬月額が低かった人以外、年金の方が少ないのが普通です。

【平成15年:事例研究より】