日雇い契約で人手確保したいが、国保加入者は除外可能か【平成15年:事例研究より】

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現在、日雇い労働者の使用を考えていますが、解説書をみると、国民健康保険の被保険者は適用除外できると書いてありました。

仮に2ヵ月間で通算して26日以上働く見込みがあったとしても、適用を除外できるのでしょうか。

適用事業所で、日雇特例被保険者の資格取得を拒否できるのでしょうか。

【福岡 I社】

日雇特例被保険者とは、臨時に使用される者、季節的業務に使用される者、臨時的事業の事業所に使用される者を対象とする制度で、適用事業所に使用されても、一般の被保険者にならない人の保護を目的としています。

日雇特例被保険者となる人は、働き始めた日から起算して5日以内に、住居所を管轄する社会保険事務所で日雇特例被保険者手帳の交付を受けなければなりません。

しかし、一定の要件に該当するときは、社会保険庁長官の承認を受けて日雇特例被保険者とならないことができます。

その条件を簡単に解説した書物のなかには、実際に「国民健康保険の被保険者」が適用除外の対象になると書いてあるものがみられます。

紙面の都合で、簡略化したのでしょうが、省略もここまで行くとやりすぎです。

適用除外には、大きく分けて①引き続く2ヵ月間に通算26日以上使用される見込みがないことが明らかなもの②健康保険の任意継続被保険者③その他特別の事由があるときの3種類があります。

その他の事由のなかに、国民健康保険の被保険者を対象としたものが例示されています。

1.現に国民健康保険の被保険者であり、かつ、その給付内容が日雇特例制度の内容と同程度以上の場合 2.国民健康保険の被保険者(または被保険者となり得る者)であって、日雇を常態としない者 イ 農林・水産・商業等他に本業を有するものが臨時に日々雇い入れられるものとして使用される場合 口 昼間学生が休暇期間中にアルバイトとして日々雇用される労働に従事する場合 国民健康保険の被保険者といっても、こうした要件に合致するときに限って、適用除外となるわけです。

そもそも、被用者保険に加入していない人は、すべて国民健康保険の被保険者のはずです。

国民健康保険の被保険者をすべて適用除外としていたら、日雇特例被保険者の対象者がいなくなってしまいます。

この要件に該当しない人は、日雇特例被保険者の手続きを取る必要がありますが、実態によっては一般の被保険者とすべきケースもあります。

貴社1社で毎月相当日数を継続して、使用する見込みがあるという場合、賃金の支払い形態が日給というだけで、実際には常用の労働者と解される可能性があります。

貴社だけで常態として日給で働くという形を採るのなら、一般の被保険者として手続きすべきケースもあるでしょう。

【平成15年:事例研究より】