40歳代の女性ですが、パートで就職が決まって喜んでいたところ、「厚生年金の資格取得手続きを取ります」といわれました。
今さら、厚生年金に加入しても、メリットがないように思うのですが、非加入を選択できないのでしょうか。
【埼玉・T子】
パートで働く人も、一定要件を満たせば、厚生年金に加入しなければなりません。
これは強制ですから、選択の余地はありません。
厚生年金加入は不可避として、そのメリット・デメリットを考えてみましょう。
まず、毎月の保険料支払ですが、サラリーマンの妻で専業主婦たった人第3号被保険者)は、自分自身では1円の保険料も納める必要がありませんでした。
この場合、厚生年金加入で給料から控除される保険料は、純粋な負担増です。
夫が自営業等で、国民年金の第1号被保険者たった人の場合、これまで払っていた1万3,300円の国民年金保険料の支払はなくなります。
標準報酬月額が18万円より安い人は、かえって本人負担の厚生年金保険料は減ります。
次に給付ですが、60歳まで働いたとします。
今、40歳代半ばの女性の場合、60歳代前半の老齢厚生年金のうち、定額部分はまったく支給されません。
報酬比例部分は、61〜62歳から支給されます。
老齢基礎年金は65歳から支給ですが、こちらは厚生年金の被保険者だろうと、第3号被保険者だろうと、金額に違いはありません。
ですから、厚生年金加入による給付面のメリットは、61〜62歳から受け取る老齢厚生年金だけという結論になります。
概算ですが、保険料の支払と年金の関係を調べてみましょう。
本人負担の保険料率は、1,000分の135.8の半分、1,000分の67.9。
一方、年金は1ヵ月保険料を納める都度、標準報酬月額の1,000分の5.481ずつ金額が増えていきます。
パートですから、ボーナスはなしという前提で話を進めましょう。
両者の比率は、12.4対1。
つまり、1ヵ月保険料を納めたとして、12.4年以上、年金を受け取れば得になりますが、それより早く死んだりすると、損になります。
61歳で年金をもらい始め、73歳3ヵ月になると、おおむねトントンという計算です。
女性の平均年齢を考えると、それほど悪い話ではないでしょう。
この試算は、第3号被保険者だった人に当てはまります。
第1号被保険者だった人は、厚生年金の加入前と後では、保険料負担はむしろ軽くなった人のほうが多いでしょう。
そうした人については、61〜62歳以降にもらう報酬比例部分の老齢厚生年金は、純粋なもらい得という結論になります。
【平成16年:事例研究より】