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平成14年2月に、過重労働による健康障害防止のための総合対策が策定されたと聞きました。
これは具体的にどのような対策なのでしょうか。
【青森 S社】
過重労働による健康障害防止のための総合対策は、時間外労働の削減、健康管理対策の強化、過労死を発生させた事業場に対する再発防止の徹底を総合的に推進する対策です。
この総合対策は、昨年12月に改正された脳・心臓疾患(過労死)の認定基準の考え方の基礎となった医学的検討結果に基づき策定されました。
新認定基準の考え方の基礎となった医学的検討結果によると、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間の評価の目安として、次のとおり示されています。
(1)発症前1ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって1ヵ月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合には、業務と発症との関連性が弱いと判断されるが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まるものと判断されること。
(2)発症前1ヵ月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合または発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって1ヵ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと判断されること。
また、過重労働による健康障害防止のための総合対策では、過重労働による労働者の健康障害を防止することを目的として、事業者が講ずぺき措置等として次のことを定めています。
なお、総合対策での時間外労働は、1週間当たり40時間を超える部分のことです。
時間外労働の削減 (1)36協定を限度基準等(*)に適合したものとすること。
(2)労働時間を適切に把握すること。
(3)年次有給休暇の取得しやすい職場環境づくりに努めること。
健康診断と事後措置を確実に実施すること (1)定期健康診断を確実に実施すること 労働者に対し、1年以内に1回の定期健康診断を実施すること。
特に深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対しては、6ヵ月以内に1回の特定業務従事者健康診断を実施すること。
(2)定期健康診断の結果に基づく適切な事後措置(**)を実施すること 産業医による保健指導や助言指導を受けること。
(1)時間外労働が月100時間または2〜6ヵ月平均で月80時間を超えたら、事業者は、産業医による事業場での健康管理についての助言指導を受けること。
労働者は、産業医の面接による保健指導を受けること。 (2)時間外労働が月45時間を超えたら、事業者は、産業医による事業場での健康管理についての助言指導を受けること。
なお、これらの保健指導や助言指導を受ける際には、就労実態が分かる情報(作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断の結果など)を産業医に提供すること。
過重労働による健康障害防止のためには、健康管理の措置を実施し、時間外労働をできるだけ短くすることが重要です。
さらに、健康診断の結果などを踏まえた産業医の意見を聴いて、適切な就業上の措置を総合的に講じるよう努めてください。
さらに、事業者は、裁量労働制対象労働者や管理・監督者についても、健康確保の責務があることに留意して、過重労働にならないように努めてください。
(*)「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)、ただし、自動車運転者については、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)
(**)「健康診断結果に基づき事業者が講ずぺき措置に関する指針」(平成8年労働省公示第1号)
【平成15年:事例研究より】