現在、標準報酬月額56万円以上の上位所得者は、高額療養費を計算する場合、自己負担限度額が高く設定されています。
当社では、12分割制の年俸制導入を検討していますが、年収総額が変わらなくても、上位所得者に分類される心配があります。
年俸制用の特別な基準はないのでしょうか。
【埼玉・T社】
総報酬制導入に伴い、ボーナスがからも月給と同じ率で保険料が徴収されるようになったため、いっそ年収全休を12分割で払ってしまおうと考える企業も増えています。
メリット・デメリットは多々あって簡単にはいえませんが、確かに高額療養費も問題の1つです。
現在、一般被保険者は、1ヵ月の窓口負担額が、7万2,300円十(医療費−24万1,000円)×1%を超えたときには、超えた分か高額療養費として払い戻されます。
しかし、標準報酬月額56万円以上の場合、負担限度額が「13万9,800円十(46万6,000円)×1%」に跳ね上がります。
12分割の年俸制を取ると、年収は同じなのに、所得ランクだけがこの上位所得者に格上げされる人が出てきます。
しかし、賃金の支払い方を変えたからといって、別の基準が適用されるわけではありません。
たとえば、老人保健法では、標準報酬月額28万円以上、または年収450万円以上の人を「一定以上所得者」としますが、高額療養費の場合、「月額または年収」のような基準は存在しません。
標準報酬月額が改定された結果、たとえば傷病手当金・出産手当金の額はアップしますが、そのメリット等を考慮して、12分割の可否を考えましょう。
【平成16年:事例研究より】