月変対象の賃金に該当しない奨励金は対象から除外してよいか【平成16年:事例研究より】

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厳しい技術競争に勝ちぬくため、仕事に関連の深い公的資格を取得した場合給料に一定の金額をオンする奨励金制度を導入する予定です。

この場合の奨励金は、資格のあるなしを基準とし、「労務の対償」に該当しないので、随時改定を行う必要はないと理解していますが、間違いないでしょうか。

【神奈川・S社】

健保法でいう報酬とは、「賃金、手当、給料、俸給、手当、賞与その他いか.なる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。

ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期問ごとに受けるものはこの限りではない」(健保法第3条第5項)と定義されています。

「労務の対償として」という制限が課されていることから、お尋ねのように「一定範囲の手当は除外されるのではないか」という疑問が生じます。

しかし、ここでいう「労務の対償」とは、必ずしも実際の労務に対して支払われる賃金項目に限りません。

たとえば、病気休職中に一定の休職給で収入を補う定めがあるとすれば、それもまた使用関係に基づき定期的に支払われるものですから、報酬に含まれます。

実務的にいうと、「労務の対償」から除外できるのは、災害見舞金、結婚祝金など恩恵的に支給されるもの(就業規則、労働協約に定めがない場合のみ)、出張費など実費弁償的なもの、大入袋・創立記念日の支給金など臨時に払われるもの(就業規則に定めがあっても可)等、きわめて狭い範囲に限定されています。

たとえば、家族手当や住宅手当なども、「労務の対償」とみなされます。

欠勤等があればカットされるなど就労日数と関連が深い点を考えれば、休職給より分かりやすいかもしれません。

ですから、貴社で定める奨励金も、まったく同じように報酬の範囲内に含まれます。

しかも、毎月決まった額が支給される固定的賃金に該当するので、新たに支給が始まった人については、随時改定の対象になるかどうかを、チェックする必要があります。

【平成16年:事例研究より】