在職老齢の対象者がケガをしたが障害手当金なら調整なく受給できるか【平成16年:事例研究より】

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私は、在職老齢年金を受けながら働いていましたが、自宅で転んでケガをし、現在、療養中です。

仮に障害が残ったとして、年金なら老齢年金と選択になると思います。

しかし、障害手当金なら一時金なので、併給調整はなく、受給可能と考えますが、いかがでしょうか。

【群馬・F社】

障害手当金は、障害等級3級には該当しないものの、一定の障害(一覧)が残ったときに支給されます。

金額は、3級の障害厚生年金の2年分で、一時金で支払われます。

一時金ですから、いわゆる1人1年金の原則は、直接、適用されません。

障害厚生年金3級なら、ご質問にあるように、現在、受け取ってる老齢厚生年金(在職老齢年金)とどちらか1つを選択しないといけません。

しかし、障害手当金を一度もらうことを選択した人が、将来にわたって、他の年金を受けられないとしたら、その不利益は甚大です。

若いときにヶガをして、障害が残っても、将来、老齢厚生年金の受給に響くとなれば、誰も障害手当金の申請をしないでしょう。

ですから、過去に障害手当金を受けた場合、他の年金の受給権を取得できないという規定は存在しません。

他の年金の受給要件を満たせば、もちろん通常どおり年金の対象になります。

障害手当金が先で、年金が後という順序なら、何の問題もありません。

しかし、年金が先で、障害手当金が後なら、話は違ってきます。

厚生年金法第56条に、「年金たる保険給付の受給権者には障害手当金を支給しない」旨の規定があり、老齢厚生年金もこの制限に引っかかります。

すでに生活保障の目的で年金を受け取っている場合には重ねて障害手当年金を請求する権利はないということです。

障害手当金を受けられる障害
  1. 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
  2. 眼の視力が0.1以下に減じたもの
  3. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
  5. 両眼の調整機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
  6. 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
  7. そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
  8. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  9. 脊柱の機能に障害を残すもの
  10. 1上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
  11. 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
  12. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの」
  13. 長管状骨に著しい転位変形を残すもの
  14. 1上肢の2指以上を失ったもの
  15. 1上肢のひとさし指を失ったもの
  16. 1上肢の3指以上の用を廃したもの
  17. ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの
  18. 1上肢のおや指の用を廃したもの
  19. 1下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの
  20. 1下肢の五趾の用を廃したもの
  21. 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  22. 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

【平成16年:事例研究より】