65歳になると付加されると聞くが経過的加算はいくらに【平成15年:事例研究より】

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私は、もうすぐ65歳になります。

65歳になると、特別支給の老齢厚生年金が老齢厚生年金と老齢基礎年金に分かれますが、そのとき経過的加算が付くと聞きました。

経過的加算とはどういう制度で、どの程度の金額を期待できるのでしょうか。

【静岡 S男】

経過的加算とは、特別支給の老齢厚生年金と、老齢基礎年金の制度上の違いを埋めるものです。

特別支給の老齢厚生年金の定額部分と老齢基礎年金は、性格的には同様のものと説明されますが、実際には金額的に差があります。

定額部分は、原則的には1、676円に被保険者期間の月数を掛けて計算します。

老齢基礎年金は、簡単にいうと40年加入で80万4,200円×0.991を基準に、実際の加入期間に応じて比例按分する方式が取られています。

1,676円に40年(480月)を掛けると、80万4,480円×0.991ですから、満額の基礎年金とほぼ等しくなります。

ところが、現在、定額部分の計算には、1,676円という数字をそのまま使わず、年齢に応じて一定の乗率を掛けて調整しています。

たとえば、今年65歳になる人の場合、1,676円×1.327 = 2,224円という数字が計算のベースとなっています。

これは、昔、老齢厚生年金が60歳支給だった当時の支給額が高かったため、経過的に定額部分の額を高く設定しているからです。

現在は、徐々に金額(年齢に応じた乗率)を減らして調整していく途中で、原則どおりの1,676円が適用されるのは、昭和21年4月2日以降に生まれた人からです。

この結果、定額部分と老齢基礎年金の額には、差が生じます。

65歳になって定額部分が老齢基礎年金になると、金額が減るという現象が生じるので、それを埋めるために厚生年金から支出されるのが経過的加算額です。

ですから、ずっとサラリーマンで厚生年金の被保険者だった人の場合、定額部分が経過的加算と老齢基礎年金に分かれるだけで、年金額が増えることはありません。

【平成15年:事例研究より】