勤務時間は午前8時30分〜午後5時30分(昼休み1時間)となっています。
午前8時30分に通常出勤し、途中、昼休みの午後O時30分から午後2時まで私用外出しましたが、残業があり午後6時30分まで仕事をしました。
相殺すれば8時間を超えませんが、日給月給制のため私用外出1時間分をカットし、終業時刻以降の1時間は125%で計算するのでしょうか。
【大分 T社】
労基法上、時間外労働として割増賃金を支払わなければならないのは、法定労働時間(原則として1週40時間、1日8時間)を超えて労働させた場合です。
労基法の労働時間の適用に当たっては、私用外出したとか遅刻したとかに関係なく、実際にその日に何時間労働したかが問題となります。
したがって、私用外出(遅刻)した労働者が、その日に残業した場合に、割増賃金を支払わなければならないかどうかは、その日の労働時間が8時間を超えたかどうかによります。
行政解釈は、「法第32条又は第40条に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について法第36条第1項に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金の支払いを要するのは、右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。
従って、例えば労働者が遅刻した場合その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の労働時間を通算すれば法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、法第36条第1項に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金支払いの必要はない」(昭29・12・1基収第6143号、平11・3・31基発第168号)としています。
1時間私用外出し、その日に1時間残業しても、その日の労働時間は8時間を超えていませんから、その者には割増賃金を支払う必要はありません。
つまり、私用外出1時間と残業1時間が相殺された形になるわけです。
このことは、月給制であると、日給月給制であると変わりありません。
1時間の私用外出、残業2時間という場合には、8時間を超えた1時間に125%の割増賃金を支払わなければなりません。
所定始業時刻(午前8時30分)前の早出、終業時刻(午後5時30分)後の残業には割増賃金を支払う定めになっている場合には、実労働時間の如何にかかわらず、午前8時30分前の勤務、午後5時30分以降の勤務に割増賃金を支払わなければなりません。
この場合には、5時30分以降の残業には割増賃金を支払う義務がありますので、私用外出の1時間は通常賃金(100%)でカットし、残業1時間には125%の割増賃金を支払うことになります。
【平成15年:事例研究より】