当社の所定労働時間は、午前9時〜午後5時30分(休憩1時間)で、実働7時間30分となっています。
4月1日から有効期間を1年とする36協定を締結し、延長することができる時間を1日4時間、1ヵ月40時間、1年320時間として届け出ています。
1日30分の法内残業20日分10時間を協定の月40時間にプラスして、1ヵ月50時間の残業が可能と考えてよいでしょうか。
【東京 M社】
時間外労働に関する協定(36協定)の締結、届出が必要なのは、労基法・第32条に規定している1週40時間、1日8時間のいわゆる法定労働時間を超えて労働させる場合です。
1日の労働時間が7時間30分の場合、1日の労働時間を30分延長しても、8時間の法定労働時間の範囲内ですから、36協定を必要としません。
行政解釈も「各日の労働時間が8時間を超えない限り労働基準法第36条第1項に基づく協定の必要はない」(昭23・4・28基収第14 9 7号、平11・3・31基発第168号)としています。
36協定の1日についての延長することができる時間は、8時間を超える時間を協定するものですから、1日4時間と協定した場合には、その4時間は8時間を超える時間を意味します。
1日12時間までの労働が可能となります。
したがって、1日の労働時間が7時間30分の場合、1日については8時間までの30分(法内残業)プラス協定の4時間、計4時間30分まで超過勤務をさせることができます。
1日30分の法内残業は協定の月40時間にカウントされませんので、毎日30分の所定時間外労働をさせても、時間外労働はゼロということになります。
これに加えて月40時間の時間外労働が可能ということになります。
しかし、1日30分の法内残業20日分の10時間を。
単純に協定の40時間に加え月50時間まで超過勤務が可能というわけにはいきません。
8時間までの30分と、8時間を超える時間外労働を区別して考えなければなりません。
月の所定労働日が20日の場合、1ヵ月にわたって毎日2時間30分の超過勤務をしたとき、その時間は50時間(2.5時間×20日)となります。
この場合、法内残業10時間(0. 5時間×20日)、時間外労働40時間(2時間×20日)ですから、協定の月40時間を超えていませんので適法です。
1日4時間30分の超過勤務を11日やったとき、超過勤務時間は49時間30分(4. 5時間×11日)で月50時間以内ですが、法内残業5時間30分(0. 5時間×11日)、時間外労働44時間(4時間×11日)となり、協定の月40時間を超え違法となります。
1日の所定労働時間が7時間30分で1ヵ月に10時間の余裕があるといっても、この10時間は1日の労働時間が8時間を超えない法内残業(30分)の合計です。
したがって、1ヵ月にわたって毎日超過勤務を行うことによって、はじめて1ヵ月50時間の超過勤務が可能となります。
【平成15年:事例研究より】