36(時間外・休日労働)協定の本社一括届出が可能になった、という記事を目にしました。
しかし、労基署に問い合わせたところ、労働組合のある会社に限られるという話です。
なぜ、そのような制限がつくのでしょうか。
【岐阜・U社労士】
企業が全国に支社や営業所を持つ場合、事業場単位で36協定を結ぶ建前ですが、全国的に条件を統一した方が実務的に便利です。
実際、同一内容で協定を結ぶ企業が多数派ですが、従来、届出に関しては所轄労基署ごとに処理する扱いでした。
これは事業場単位の適用を大前提とする労基法の考え方に沿うものですが、平成15年2月15日付通達(基発第0215002号)により、本社一括届出が可能になりました。
ただし、企業側の事務負担を軽減する例外処理のため、本社機能を有する事業場で、現実的に労働条件の統一的処理が図られている場合に限って認められます。
一括届出といっても、全国共通の協定を1本作成すれば済むわけではなく、形式的に事業場単位で作成したものをまとめて提出します。
ですから、当然、事業の種類・名称、所在地、労働者数は事業場ごとに異なります。
しかし、「協定の当事者である労働組合の名称又は労働者の過半数を代表する者の氏名」も含め、その他の項目はすべて同一でないといけません。
過半数代表者は事業場ごとに選任するので、1人の人間に統一するのは不可能です。
結局、すべての事業場で過半数以上の労働者を組織している労働組合が存在する場合に限って、本社一括届出が可能となります。
【平成16年:事例研究より】