当社は、毎年、4月分の賃上げ妥結が遅れ、5月分の給料に差額を上乗せ処.理していました。
このため、標準報酬月額の定時決定の際、上乗せ分を修正していました。
算定基礎月が1ヵ月前倒しとなりましたが、今後は、どのように処理すればよいのでしょうか。
【茨城・S社】
標準報酬月額は、原則として、算定基礎月3ヵ月間の平均を基に決定されますが、単純に計算すると実態を適正に反映しないケースでは、修正平均を用います。
従来、算定基礎月は、5・6・7月の3ヵ月でしたが、このいずれかの月に4月以前の給料遅配分を受けたとき、またはいずれかの月の給料が遅配で8月以降に支払われるときは、その分を調整したうえで、標準報酬の決定が行われました。
4月以前の遅配分を含め平均を算定すれば、10月以降に「受けるであろう」給料より高い水準に標準報酬月額が引き上げられる結果になります。
一方、8月以降に支払いが遅れる分かあれば、標準報酬月額が不当に低い水準にダウンする恐れがあります。
日本の企業は、ほとんど4月に定期昇給を実施します。
実態として、大手企業で賃上げ相場が定まった後、徐々に、中小以下の交渉が終結するというスケジュールを取ります。
ですから、従業員規模が小さく、労使交渉が長引く会社では、毎年、賃上げ妥結が4月の賃上げに問に合わないというケースも少なくありません。しかし、それでも就業規則・賃金規則上は、昇給の時期は4月と定めてあるのが普通です。
この場合、4月分は旧水準でとりあえず支払っておき、5月分に差額を上乗せするという手続きを取る必要があります。
そうした企業では、毎年修正平均を用いてきたわけです。
しかし、算定基礎月の前倒しにより、今後は、4・5・6月のいずれかの月に3月以前の給料遅配分を受けた場合に、修正の必要が生じます。
3月昇給の会社は少数派なので、修正平均を取る会社も少なくなると推測されます。
【平成16年:事例研究より】