当社は、年休年度を4月1日から翌年3月31日までとし、4月1日を基準日としています。
このため、入社6ヵ月後にlO日禎寸与し、翌年の4月1日の基準日に11日(10月から3月31日までの人社者も11日)を付与しています。
年休の権利は次年度に限って繰り越されますが、入社6ヵ月で付与した年休は、その日から1年6ヵ月有効と考えてよいでしょうか。
【東京 K社】
年次有給休暇の継続勤務要件は、初年度に限って「1年」から「6ヵ月」に改正されましたが。
時効について規定した労基法第115条は改正されていません。
労基法第115条は「この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間……行わない場合においては、時効によって消滅する」と規定しています。
行政解釈は、この「その他の請求権」を、この法律によって労働者が請求し得る権利と解し、年休の権利は「法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる」(昭22・12・15基発第501号)としています。
年休の権利は、付与された日から2年間は行使できます。
したがって、入社6ヵ月後に付与された10日の年休は、その付与日から2年間は有効となります。
その年度に行使されなかった権利は次年度に繰り越されますが、年休年度を4月1日から翌年3月31日までとしていることで、入社6ヵ月後に付与された年休を、次の年度の終了(3月31日)もしくは1年6ヵ月で消滅させることは許されません。
たとえば、平成15年4月1日入社者に、平成15年10月1日に10日の年休を付与した場合、当該年度とはその付与した10月1日から平成16年9月30日までの1年間です。
次年度への繰り越しは平成16年10月1日から平成17年9月30日までということになります。
入社6ヵ月後に付与された初年度の年休も、それが付与された2年間は有効です。
また、分割付与として4月1日に入社した者に入社時に5日、法定の基準日である6ヵ月後の10月1日に5日を付与し、次年度の4月1日に11日を付与する場合、それぞれの付与日から2年間は有効となります。
翌年の4月1日に11日を付与するということで、入社6ヵ月後に付与した5日の年休を1年6ヵ月で消滅させることはできません。
入社6ヵ月後に付与した5日は、その日から2年間有効となります。
【平成15年:事例研究より】