雇用保険法改正で、60歳到達時賃金の特例が廃止されましたが、60歳到達時賃金正明書の扱いはどうなるのでしょうか。
今後は、提出義務がないという理解で間違いないでしょうか。
【秋田・A社】
以前は、60歳で定年を迎え、再雇用された従業員が退職した場合、60歳到達時と退職当時の賃金を比べ、高い方の賃金を基に基本手当(失業給付)を決定する特例がありましたが、現在は、廃止されています(経過措置あり)。
一方、60歳定年当時より賃金が相当程度(75%未満)ダウンした人を対象に賃金の一部(最大15%)を支給する高年齢雇用継続基本給付金は、給付水準が低下したものの、引き続き支払われます。
つまり、60歳定年時賃金証明書そのものは、今でも存在意義を有しているわけです。
このため、平成15年10月28日に公布された雇用保険施行規則を改正する省令(施行は平成16年1月1日)では、賃金証明書の扱いをすっきりと整理しました。
まず、60歳到達者について賃金証明書の提出を義務付けていた雇用保険法施行規則旧第14条の2は削除されました(旧第14条の3が繰上げ)。
次に、第101条の5で、「初めて高年齢雇用継続給付の支給を受けようとするときは、賃金証明書を公共職業安定所の長に提出しなければならない」と定めました。
逆にいうと、60歳定年到達者が再雇用等で就労を続ける場合でも、雇用継続給付を受けない(賃金ダウンが小さい)ときには、賃金証明書の提出が不要となります。
【平成16年:事例研究より】